写真・動画撮影はもちろん、AI機能の進化で新しい体験も -「Galaxy S24 Ultra」レビュー
サムスンのフラグシップスマートフォン「Galaxy S」の最新モデル「Galaxy S24」シリーズが発売された。国内ではまだ発売されていないが、海外版の試用機を入手したので、その魅力を詳しくレビューする。
スペック面ではわずかな進化、使い勝手の改善が大きな進歩
今回試用したのは最上位の「Galaxy S24 Ultra」だ。ディスプレイは6.8型のQHD+解像度で、前モデル「S23 Ultra」よりわずかに高解像度になっている。これは側面のディスプレイがエッジから平らなフラットパネルに変わったことによる。
この画面デザインの変更により、手で持った際の操作性が大幅に改善された。これまではボディを握ると、指が画面の端に触れて操作できなくなる場面があったが、フラットパネルにより解消された。Sペン操作での画面の端での書き味も向上した。
ただし依然として6.8型の大画面なので、片手操作には向いていない。大画面が売りのデバイスなので、これはあくまでもトレードオフの話だろう。Sペン自体の操作性や機能は従来と変わらず、収納位置も左下に変更はない。
バッテリーは5,000mAhで容量は変わらないが、公称の動画再生時間は26時間から30時間に伸び、音楽再生時間は99時間から95時間に短くなっているなど、細かい変更はある。ただし実用時間は大きくは変わらないと思われる。
ボディサイズはH162.3×W79.0×D8.6mm/約232gと従来とほぼ同じで、大画面ながらも一定の持ち運び性能は維持されている。
夜景撮影の進化が目覚ましいカメラ性能
写真・動画撮影が最大の武器となるのはスマートフォンの基本路線だが、「Galaxy S24 Ultra」のカメラはさらに進化を遂げた。
メインの広角カメラは従来の2億画素の超高解像度センサーを搭載している。一方、望遠カメラはトリプルレンズから光学5倍の500万画素センサーに一本化された。これは前モデルの光学10倍での無理が改善されたという側面もあるだろう。
その代わり、500万画素のセンサーはピクセルビニングにより高感度・高画質化を実現。描写力とノイズ特性が大幅に向上しており、特に夜景撮影で効果を発揮している。
動画性能も進化し、8K動画撮影が30fpsに対応。さらに夜景での動画性能も向上しており、「Galaxy S23 FE」と比較するとノイズが大幅に低減され、クリアな画質になっている。
静止画でも「S23 FE」との差は歴然で、最新の最上位機種にふさわしい高画質な描写力を発揮する。ダイナミックレンジも適度に抑えられており、全体として見ると色味は落ち着いた印象に。かつてのGalaxyシリーズのような個性的でインパクトのある色再現ではなくなった。
望遠端の5倍と広角の組み合わせは使いやすい画角で、デジタルズームと合わせて撮影シーンを選べるのが便利だ。Sペンを使ったカメラリモート操作も健在で、シャッターはSペンのボタンで、Sペン振りでカメラを切り替えるなど、カメラ操作に一役買っている。
デジタルズームは最大100倍まで可能だが、これまでと同様に画質的には限界がある。光学ズームとデジタルズームを使い分ける必要がある。
画期的なAI機能で新しい体験を実現
さらに魅力なのが、生成AIを活用した新機能の搭載だ。画像編集では被写体の自動選択・消去、背景の補完を行える。精度はまだ完全ではないが、AIの進化による新体験を実現する第一歩と言えるだろう。
この機能はSnapdragon 8 Gen 3 for GalaxyのAI性能向上に起因している。生成AIの活用はカメラ以外の場面でも今後拡大していくと考えられる。
総合力の高さが際立つフラグシップモデル
パフォーマンスは最新SoCの性能を生かしており、日常使用で不足を感じることはほとんどない。ただしベンチマークテストは行っていない。
全体を総合すると、写真・動画の撮影性能が進化したことに加え、AI機能の強化で新しい体験が用意されている点が大きな魅力だ。フラグシップらしい高級感のあるデザインとSペン操作の使い勝手の良さも健在で、最上位モデルとしての総合力の高さが際立っている。
今後のGalaxy AIの動きにも注目しつつ、日本発売を待ちたいものです。