Googleが2025年8月に発表予定の次期折りたたみスマートフォン「Pixel 10 Pro Fold」において、折りたたみスマートフォンとして初めてIP68等級の完全防塵防水性能に対応する見通しとなった。Android情報サイト「Android Headlines」がスクープした情報によると、新型ヒンジの採用により薄型化と耐久性向上を同時に実現し、従来の折りたたみスマートフォンの弱点を克服する画期的なモデルになると期待されている。
IP68等級は、完全防塵性能と水深1メートルで30分間の耐水性能を保証する最高レベルの防塵防水規格だ。これまでの折りたたみスマートフォンは、主にIP48(1mm以上の固形物に対する防護)やIPX8(防水のみ)の規格にとどまっており、完全な防塵性能を持つ製品は存在しなかった。特に「ホコリの侵入」は折りたたみスマートフォンの構造上の弱点として長らく課題となっていたが、Pixel 10 Pro Foldがこの問題を解決することで、折りたたみスマートフォン市場に大きな変革をもたらす可能性がある。
設計面での最大の革新は、新型ヒンジの採用による大幅な薄型化だ。ヒンジ部分の小型化により、本体全体の厚みが従来モデルより薄くなることで、手に持ったときの快適さが大幅に向上すると予想されている。折りたたみスマートフォンの課題の一つであった携帯性の問題が、この設計変更により大きく改善されることになる。
興味深いのは、ヒンジの小型化にもかかわらず、カバー(外側)ディスプレイのサイズが6.3インチから6.4インチに拡大される点だ。本体の物理的なサイズはほとんど変わらないとされており、効率的な設計により画面サイズの拡大と薄型化を両立している。この改良により、閉じた状態でも通常のスマートフォンと同様の使い勝手を実現できると期待される。
折りたたみスマートフォンの普及における最大の障壁の一つは、耐久性への不安だった。特に、ヒンジ部分からのホコリや異物の侵入により内部機構が損傷するリスクは、多くのユーザーが購入を躊躇する要因となっていた。Pixel 10 Pro FoldがIP68等級に対応することで、海辺や工事現場など、これまで使用を避けていた環境でも安心して利用できるようになる。
この防塵防水性能の向上は、折りたたみスマートフォンの使用シーンを大幅に拡大することになる。アウトドア活動や職業柄ホコリの多い環境で働くユーザーにとって、折りたたみスマートフォンが初めて現実的な選択肢となる可能性がある。また、日常使用においても、飲み物をこぼした際の故障リスクや、砂浜での使用時の不安が解消されることで、より気軽に使用できるようになるだろう。
発表スケジュールについては、Pixel 10 Pro FoldはPixel 10シリーズの他のモデルとともに8月20日に発表され、8月28日に発売されると見られている。Googleの折りたたみスマートフォン戦略にとって重要な節目となるこのモデルは、Samsung Galaxy Z Foldシリーズとの競争において大きなアドバンテージを提供する可能性がある。
技術的な観点から見ると、折りたたみ構造でありながらIP68等級を実現することは非常に困難な挑戦だった。可動部分があることで完全な密閉が困難な折りたたみスマートフォンにおいて、この防塵防水性能を実現するためには、材料技術、設計技術、製造技術の全面的な革新が必要だったと考えられる。
市場への影響も大きく、Pixel 10 Pro FoldがIP68対応を実現すれば、他メーカーも同様の防塵防水性能を目指すことになり、折りたたみスマートフォン全体の品質向上につながると期待される。これにより、折りたたみスマートフォンが特殊な製品から主流の選択肢へと移行する重要な転換点となる可能性がある。
ユーザーにとっては、手に馴染みやすく、様々な環境でも安心して使える折りたたみスマートフォンの登場により、大画面での作業効率向上とコンパクトな携帯性を両立したデバイスが現実的な選択肢となる。Pixel 10 Pro Foldの正式発表と詳細仕様の公開が待ち遠しい状況だ。
ガジェットカフェ編集部