ワイモバイルが9月25日から新料金プラン「シンプル3」を開始すると発表した。一見すると値上げに見えるが、PayPayカード割引の拡充で「実質お得になる」という触れ込み。さらに2026年夏から海外2GB無料化も決定。ただし、「実質お得」という表現には注意が必要かもしれない。
新プラン「シンプル3」の料金体系
新料金(税別):
- シンプル3S(5GB):2780円
- シンプル3M(30GB):3780円
- シンプル3L(35GB):4780円
現行「シンプル2」との差額:
- S:+630円
- M:+130円
- L:+130円
確かに表面上は全プラン値上げ。特にSプランの630円アップは結構大きい。
PayPayカード割引の拡充で「実質お得」の仕組み
割引内容:
- 通常PayPayカード:月額300円引き
- PayPayカードゴールド:月額500円引き
全割引適用時のシンプル3S料金:
- 新プラン:780円(おうち光セット割等込み)
- 現行プラン:980円
- 差額:200円安
つまり、「PayPayカードを持っていて、おうち光も契約している人は安くなる」ということ。でも、これって本当に「実質お得」と言えるのだろうか?
「実質お得」のカラクリ
正直、この「実質お得」という表現は少し疑問:
条件をクリアできる人:
- PayPayカード(できればゴールド)所有
- おうち光セット割対象者
- その他諸条件をクリア
条件をクリアできない人:
- 普通に値上げされる
- 特にSプランユーザーは月630円の負担増
要は「PayPay経済圏にどっぷり浸かっている人は安くなるよ」ということ。
新機能は確かに魅力的
データ繰り越し対応:全プランで翌月繰り越し可能 シンプル3L特典:10分以内通話無料、グループ通話・割込通話も無料 LYPプレミアム無料:月508円相当のサービスが全プラン無料付帯
特にデータ繰り越しは待望の機能。これまでワイモバイルの弱点だった部分が改善される。
2026年夏から海外2GB無料は画期的
200以上の国・地域で月2GBまで無料というのは確かにすごい。海外旅行や出張が多い人には大きなメリット。
ただし、2026年夏からなので、まだ1年以上先の話。それまでは「海外あんしん定額」を月最大7日分無料で提供とのこと。
PayPay連携で最大10GB追加
11月から、月10回以上のPayPay決済で最大10GBの追加データがもらえるキャンペーン開始。PayPayユーザーには嬉しい特典。
でも、これも「PayPay使ってる人限定」の恩恵。
法人向けサービスも拡充
法人契約割引3:2回線以上で1000円引き おうち割でんきセット(E):でんきサービス併用で最大2年間1000円引き
法人向けの施策も充実している。
ソフトバンクの戦略が見える
今回のプラン改定で見えるのは:
- PayPay経済圏への囲い込み強化
- 表面的な値上げで収益改善
- 割引で優良顧客の囲い込み
- 海外サービスでの差別化
要は「ソフトバンク・PayPayのサービスをたくさん使ってくれる人は優遇しますよ」という戦略。
競合他社への影響は?
ワイモバイルの動きを受けて、UQモバイルやahamoも対抗策を検討するかもしれない。特に海外データ通信の無料化は業界インパクトが大きそう。
結論:「実質お得」は条件次第
ワイモバイル「シンプル3」は確かに機能面では改善されているが、「実質お得」かどうかは個人の利用状況次第:
メリットを受けやすい人:
- PayPayカード(特にゴールド)所有者
- おうち光セット割対象者
- PayPay決済を頻繁に利用
- 海外渡航が多い
微妙かもしれない人:
- PayPayカードを持っていない
- ソフトバンク光を契約していない
- PayPayをあまり使わない
- 国内利用メイン
「実質お得」という表現に惑わされず、自分の利用パターンに合うかどうか冷静に判断することをおすすめする。条件がマッチすれば確かにお得だが、そうでなければ単なる値上げになる可能性も高い。
ガジェットカフェ編集部