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「irumo」早すぎる終了の裏側…ドコモ、たった2年で何が変わった?

ドコモの格安プラン「irumo」がわずか2年で新規受付終了へ。「認知されなかった」「0.5GBプランの役割終了」など、その舞台裏と新プラン「ドコモ mini」との違いを探る。

「え、もう終わり?」

多くのユーザーがそう感じたのではないだろうか。ドコモが新料金プラン「ドコモ MAX」などの発表と同時に、「irumo」「eximo」の新規受付を6月4日で終了すると発表した。特に「irumo」は2023年7月のサービス開始からわずか2年足らずでの幕引きとなる。

なぜこれほど短命で終わることになったのか?その背景と影響を探ってみた。

「irumo」って何だったの?振り返り

「irumo」は、ドコモが2023年7月から提供を開始した小容量向けの料金プランだ。子会社NTTレゾナントを吸収合併したことで、同社が提供していた「OCN モバイル ONE」の後継サービスとして誕生した経緯がある。

Y!mobileやUQ mobileといったサブブランドを持たないドコモにとって、低容量ユーザー向けのプランとして期待されていた。データ容量は0.5GB、3GB、6GB、9GBの4種類で、特に0.5GBプランは月額550円という破格の価格設定だった。

「ドコモ mini」との違いは?

新たに提供される「ドコモ mini」は、「irumo」の後継として位置づけられるが、いくつかの大きな違いがある:

  1. データ容量の選択肢が減少
    • irumo:0.5GB、3GB、6GB、9GB(4種類)
    • ドコモ mini:4GB、10GB(2種類のみ)
  2. 0.5GBプランの廃止: 最も安価な月額550円の0.5GBプランが廃止に
  3. 割引の拡充: 「dカードお支払割」が187円→550円に、「ドコモ光セット割」が1,100円→1,210円に増額
  4. 新しい特典の追加: Amazonプライムの月額会費を最大3ヶ月間割引、その後も毎月120ポイントを還元

特に目を引くのは、各種割引適用後の料金比較だ。「ドコモ mini」は4GBで880円、10GBで1,980円となり、「irumo」の3GBで880円、9GBで2,090円と比べると、同じ価格帯でより多くのデータが使えるようになる。

ただし、注意点として、「ドコモ mini」は割引前の料金が高めに設定されており、各種割引を適用して初めて魅力的な価格になるという点だ。

なぜ0.5GBプランを廃止?ドコモの本音

ドコモが0.5GBプランを廃止した理由として、以下のような背景が明らかになっている:

  1. MNP(乗り換え)の「弾」として使われていた NTTドコモ副社長の齋藤武氏も認めるように、安価な0.5GBプランは、単に番号を保持するための「弾」として使われることが多かった。
  2. OCNからの移行が一段落 ドコモマーケティング戦略部長の山本明宏氏によれば、「OCN モバイル ONEからの移行先としてある程度来ていただけたので、役割を終えた」とのこと。
  3. 実用性の問題 「0.5GBは普通にお使いになると、足りなくなる」(山本氏)という現実的な問題もあった。

特に興味深いのは、「3Gケータイからの移行先」としては、0.5GBプランはほとんど選ばれていなかったという点だ。3G終了(2026年3月予定)に向けた移行策としては、むしろ「はじめてスマホ割」(1GBを1,000円台で利用可能)のほうが人気だったという。

「irumo」の最大の敗因は「認知されなかった」こと

「irumo」短命の最大の理由として、ドコモ側が挙げるのは「認知の問題」だ。

山本氏によれば、「eximo」と「irumo」のどちらが大容量で、どちらが小容量なのかが分かりにくく、さらには「ドコモのプランであることすら認知いただけないジレンマもあった」という。

確かに「irumo」という名称は、OCNからの連続性を感じさせるものではあったが、「ドコモ」というブランドとの関連性が感じられないという問題があった。

新しいプランはすべて「ドコモ XX」という命名規則に統一され、「mini」という名称からは小容量向けであることが直感的に理解できる。これは大きな改善点と言えるだろう。

0.5GBプラン廃止の影響は本当に少ないのか?

ドコモは0.5GBプランの廃止による影響は限定的との見方を示しているが、本当にそうだろうか?

確かに、データをほとんど使わないユーザーや、単に番号維持のためだけに契約している「テクニカルユーザー」には影響があるだろう。特に月額550円という価格帯は、他のどのキャリアやMVNOでも実現が難しい水準だった。

一方で、4GBで880円という「ドコモ mini」の価格設定は、割引適用を前提としても格安SIMと比較しても競争力のある料金だ。データをある程度使うライトユーザーにとっては、むしろ使いやすくなったとも言える。

筆者の見解:短命だったが役割は果たした?

個人的には、「irumo」はその短い寿命の中で一定の役割を果たしたと考えている。

  1. OCN モバイル ONEからの移行先として機能した
  2. ドコモブランドの「格安プラン」という新しい市場を開拓した
  3. 料金プラン設計の「実験場」として機能した

特に3点目は重要で、「irumo」の経験があったからこそ、「ドコモ mini」はより使いやすく、認知しやすい設計になったと言える。

ただ、わずか2年での方針転換は、ユーザーに「ドコモのプランはすぐ変わる」という印象を与えてしまった点は否めない。長期的な信頼獲得のためには、もう少し継続性のある戦略が望ましいのではないだろうか。

まとめ:6月4日までが最後のチャンス

「irumo」の新規受付は6月4日で終了するが、既存ユーザーは引き続き利用可能だ。特に月額550円の0.5GBプランを利用したい人は、この日が最後のチャンスとなる。

一方、データをある程度使うユーザーには、「ドコモ mini」の4GBプラン(割引適用後880円)が魅力的な選択肢になるだろう。

ドコモのプラン戦略は今後も変化していくと思われるが、「ドコモ XX」という命名規則の統一は、少なくとも認知面での改善につながるはずだ。


ガジェットカフェ編集部

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